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SPA代表の齋藤鷹一さんにインタビューしました



2022年11月13日に特定非利益活動法人SPAの代表である齋藤鷹一さんにお話を伺いました。世界の動物愛護のあり方を直接目で見た斎藤さんが施設を立ち上げるに至った経緯や、施設の存在についてお話ししていただきました。

改めて、動物保護について、私たちができることについて考えることができる内容となっています。是非一読いただきたいです。


Q. 施設を立ち上げた際、なぜ「ウェルネスサロン」という名称なのか。

ウェルネスとは「その子(元野犬)のことを考えたグルーミング」と位置づけることができる。野犬出身の子は、一般のトリマーでは扱えない。人に慣れていないため、トリマーに対してトラウマを覚えてしまう。そうすると、人間に対してトラウマを覚えてしまうため、家族になることにも悪影響を与えてしまうかもしれない。

そのため、一般のサロンより施設を卒業した子に対してのサービスが必要だと考えた。

犬には犬種によって、カットやシャンプーが必要な子、必要でない子がいる。

人間が快適に動物と過ごすためのシャンプーと、動物のことを考えて皮膚をきれいにする目的のシャンプーがある。そういったことを区別し、1匹1匹それぞれに対して、合ったものをグルーミングというかたちで提供している。

また、家庭でのブラッシングも「のみ・ダニのため」というよりも、コミュニケーションという目的で行なう行為という位置づけ。


Q. シェルターとサロンとの位置づけはどういうスタンスで考えているか。

サロンを「最終関門」として捉えている。シェルターで譲渡したから「うちに来てください」というように強制することはしない。「必要ならば来てください」というスタンスを保つ事で、シェルターとサロンをつなげて利益を得ようとかは思っていない。

また、あくまでも最終関門であるため、ペット保険やSPAさんで扱っているフードの購入を要請したりすることはない。


Q. 動物保護施設に寄付すると何に使われるのか。

多くの犬猫たちを救ってきたSPAでは、年間で1200万円ほどの寄付金が集まるそう。

その一方で、保護活動には多額の支出を伴う。

〔支出の例(年間)〕

医療費…800万

家賃…600万(池上と大森の合計)

広告費…200~300万

食費、空輸費...etc

*広告費…なかなか譲渡が進まない犬猫に対しては、SNSなどで積極的に広告を打って、周知に努めている。

*食費…施設では斎藤さんの厳選した、ニュージーランドなど海外から取り寄せたフードを使用。

このようにトータルで見ると支出の方が圧倒的に多く、超過した分は全て齋藤さんがご自身で負担(経営している他会社での収入)している。


Q. 施設を設立する際に一番苦労したこととは?

1番は資金集め。大森の譲渡施設とウェルネスグルーミングサロンの2箇所合わせて3000万程かかった。その資金を集められなかった訳ではなかったが、やはり苦労したことではあった。


Q. 現在の施設の場所を選んだ理由と、商店街の中に設立するに当たって配慮したことは?

活動を世界に届けること前提に、まずは日本全国からのアクセスが良いところを探していた。空港内に作ることなども考えたが、新幹線の発着する品川駅からほど近い大森を選んだ。設立する際には、商店街のすべてのお店に挨拶し、快く受け入れてもらった。


Q. 斎藤さんが日本での譲渡条件で腑に落ちなかったこと、逆に実際に海外に行ってみて納得できたことは何か?譲渡条件。

日本の譲渡条件は、年齢に対する制限や、犬を飼育できなくなった時の預け先が確保できる人など、迎えようとしているのに、迎えるまでの障害が多い。

また、渡したらアドバイス・生活スタイルの提案という形ではなく、監視をしているような状態。

しかし、海外の譲渡条件は、その子と一緒に暮らしていけるか、ライフスタイルとあっているかといったことで、ひとり暮らしであるとか収入については関係なかった。

海外で譲渡するとき、生活スタイルのアドバイス、提案をすることが一般的。またアフターフォローも充実している。

Q. 齋藤さんが保護、譲渡活動を日本で始めたのはいつか

3年前。シンガポールSPCA。本当はイギリスのRSPCAに行きたかったけどだめで、シンガポールだと行けた。

ヨーロッパ・欧米では日本と動物への価値観がかなり違う。犬猫以外でも、動物全般についての福祉を考えている。日本は、考え方はヨーロッパだけど、法律がアメリカ。アメリカでは犬は犬という考え方が強く、ヨーロッパは擬人化しがち。動物を擬人化することはメリットもデメリットもある。擬人化しない例として、犬のしつけとしてたたくのはよくない。擬人化する例は、「犬にも心があるから」たたくのはよくないとなる。日本人は後者の考え方、つまりヨーロッパによった考え方。また、ペット(動物)について日本人は知識不足であることが大きい。


Q. アメリカハワイで保護施設に研修に行く方法は?

連絡取れば行ける。また、電撃お宅訪問もできる。実際に斎藤さんがアポとったのはシンガポールだけ。しかも、いついつ行きますとはいっていない。


Q. 譲渡活動に興味のある若い人にやってほしいこと・伝えたいことは?

興味があるのなら、海外のシェルターに行って実際に自分の目でどうなっているかを確かめてみて欲しい。シンガポールとか、イギリスRSPCA、ドイツとか。ペット後進国タイにもタイSPCAがある。

タイには野犬がうろうろしていて、狂犬病発症率も高いが、タイで保護活動をやっている人たちが、先進国並みの知識がある。上海北京もペット後進国ではあるが、日本よりは進んでいて、保護活動している人の知識も豊富。

保護施設目的で「シェルターに行くため」というよりも、旅行に行く時とかに、寄っていく・行ってみることが大切。


Q. 次に来た時にはほとんどいれかわっていることもあるくらい、SPAは犬猫の回転率が早い理由は?

里親を希望する人が多いから。

お披露目が譲渡会しかないところもあるが、SPAは都心にあり、一か月30日いつでも犬猫を見られる。また、ネット等の広告にも力入れている。特にホームページ。一日15万回閲覧されている。

里親希望が犬1匹に最低でも五件くらい入る。入らない時は、広告(100万程)かける。斎藤さんはIT系の会社を持っており、検索で上に表示されるようにしている。

また、施設の清潔感を大切にしている。

また、譲渡対象として選んでもらうときに、ポジティブに行きたい、けど、ネガティブな部分も説明する。「こういう子を迎えたい」と思うようなブランディングをすることでポジティブマーケティングをし、「かわいそう」というようなネガティブキャンペーンをしない。ポジティブな印象を与えてクロージングでネガティブなことをいう。そのあともサロンなどでケアを行なう。

ATフィールドを壊すために、アイスブレイクする。あいさつする。マーケティングがポジティブじゃないといけない。

また、日本では犬のしつけ・ご飯、病気のこと全て獣医師に任せてしまう。獣医師は医療の勉強をしていたため、動物医学のプロ。しかし、動物のすべてに詳しいわけではない。それぞれの専門家に聞くのがベスト。斎藤さんは生活の中で改善できるモノを提案する。


参加者感想

みさき

人のためではなく、わんちゃん、ねこちゃん自身のために行っている活動だという強い想いが感じられるお話ばかりで、とても有意義な時間でした。全国はもちろん、全世界に保護犬猫の存在を伝えたいという代表さんの言葉を聞いて、私たちも小さなことでも行動することが必要だと改めて感じることができました。

あきみ

今回のインタビューでは、斎藤さんの運営する施設のことだけではなく、ご自身の体験についても教えていただいたので、とても興味深く、勉強になりました。

やはり日本は、未だペットを飼う側、そして保護活動をする側の双方が知識不足であると聞き、現状に対して少しでも力になれるよう、改めて定期的に行っている勉強会や啓蒙活動に取り組んでいこうと思いました。

ふうね

SPAという組織を立ち上げた代表の方にお話を伺うことができて、改めて動物のことを考える手段は一つではないと感じました。自分の家のペットの健康状態を考え、コミュニケーションをすることも、実際に寄附などの金銭的援助をすること、そして実際に施設を立ち上げること。一つの目線からではなく、たくさんの視点から考え、学ぶことが多いと思いました。

改めて、こうして実際に海外を見て感じたことを直接聞くことができ、そうした所でボランティア活動を経験させていただけることが貴重だと実感しました。

今後もActryの活動を通して国内だけでなく、海外にも目を向け、動物問題へ一歩ずつ関わっていきたいと考えています。

もえり

私の気になっていたことの事実を聞けて、非常にいい経験でした。日本と海外のことを踏まえて、斎藤さんの動物愛護の価値観を学ぶことができました。海外の保護施設がどのようなものなのか、実際に自分の目で確かめてみたいと感じます。また、SPA設立には、動物と新たな家族の幸せをよく考えられていたということも知れて、よりSPAが好きになりました。

あすか

資金が思った以上にかかっていたのでその点で苦労する事に納得しました。もっと簡潔な施設を立てることも可能でしたがやはりきちんと設備の整った場所を作りたかったとのことで、資金を惜しまずに施設設立を行ったことがうかがえます。


本記事をここまで読んでいただきありがとうございます。

今回の記事、インタビューが少しでも多くの人に伝わり、ペットと人間の関係性のあり方について考える機会になれば幸いです。

これからも学生団体ActryではSPAさんをはじめとする、動物愛護活動を支援していきます。

インタビューのお時間をいただいた斎藤さん、並びにSPAの皆様、ありがとうございました。

非利益活動法人SPA

【住所】東京都大田区山王3-28-2

【公式HP】https://s-p-a.jp/


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